前章では医学部入学後からの4年間について紹介しました。
続いて、残りの2年間について紹介します。
病院実習
共用試験に合格すれば、通常は5年次、大学によっては4年次の半ばくらいから、それまでは大学の構内だった学びの場が病院へと移り、実践的な学習を積んでいきます。これが病院実習です。
この実習はBSL(Bed Side Learning)、あるいはBST(Bed Side Teaching)、もしくはポリクリ(Poliklinik…ドイツ語で総合病院・外来臨床実習)と呼ばれています
- 実習の流れ
- 病院実習は大学に付属している大学病院で実施され、学生たちは病院内の各診療科を1~3週間ずつ、2~8名ほどのグループに分かれて順番に回っていくのが基本です。
病棟にいる患者をすべての学生が一人ずつ受け持ち、診察や問診のトレーニングをしていきながら、指導医の下で様々なことを教わっていくことになります。 - 実習の内容
- 各診療科では、入院するまでの経過やこれまでにかかった病気、嗜好品や生活環境、職業などについて患者に問診したり、それをもとにしてカルテを作成したりして実習を積んでいきます。
またレポート課題や、指導医が行う診察や検査の見学、手術への立ち会いなども実習のひとつです。
レントゲンやCTといった検査結果も、担当患者のものであれば自由に見ることができるため、診断や治療の方法を実践的に学ぶことができます。 - 実習のスケジュール
- 実習の期間中、学生は病院に毎日通い、大学での講義はほとんどありません。
現場に身を置く以上、実習期間中はそれまでよりも更に不安定なスケジュールをこなしていくことになります。
近年では50週間の実習期間を拡大する大学が増えており、学生は医療チームの一員として高度な体験を積むことができます。
講義では分からなかった現場の空気や問題点、大変さなどを身をもって体感できるこの病院実習で、意識を変える学生も多いようです。
6年間の大詰め
病院実習が終わると、本格的に卒業試験や医師国家試験の準備をしていくことになります。
その準備と同時に、学生は卒業後の研修先を確定していかなくてはならないため、医学部生にとってこの時期は正念場といえるでしょう。
学生は卒業試験の勉強をしながら、卒業先の研修先を決めるために病院へ見学に行ったり、その病院先で課される筆記試験や面接を受けたりすることとなります。
ハードな日々を送ることになりますが、卒業試験に合格すれば、いよいよ医師国家試験を受けることができます。